最低賃金が上がることにより困ることの本質

業務改善助成金を活用する前に考えたいポイントがあります。

業務改善助成金の相談を受けていると

「50円上げれば助成金の対象になるんですよね?」

という質問をいただくことがあります。

もちろん制度上は賃上げが必要です。

しかし、飲食店経営の現場で本当に悩ましいのは最低賃金そのものではなく、

従業員同士の時給バランスだったりします。

例えば、こんなケースがあげられます。

入社したばかりのアルバイトAさんが時給1,100円

3年勤務しているベテランスタッフBさんが時給1,130円

この状態で最低賃金の上昇や助成金活用のために新人スタッフAさんの時給を1,150円に引き上げたとします。

すると、ベテランスタッフBさんからするとどうでしょうか。

「自分も上げてもらえないとおかしい」

と感じるのは自然なことです。

結果として、新人スタッフだけではなく、周辺の従業員の時給も引き上げることになります。


目次

飲食店は「時給のバランス問題が起きやすい」業種

飲食店は特にこの問題が起きやすい業種です。

理由としては

・学生アルバイト
・主婦パート
・フリーター
・社員

など、さまざまな働き方の人が混在しているからです。

さらに最近は採用市場も厳しくなっています。

求人サイトを見ると、

「時給1,200円以上」

という募集も珍しくありません。

そのため、新しく入ったスタッフの方が、長く働いているスタッフより時給が高い

というケースも実際に起きています。

また求職者は周辺のお店の時給情報等を予めリサーチしてから応募をしてくるので

周辺のお店や外部状況に合わせて時給を上げざるを得ないケースが多々あります。


最低賃金の引き上げに対し真に考えるべきこと

最低賃金の引上げは毎年話題になりますが、経営者が本当に考えなければならないのは、

「最低賃金を上回っているから大丈夫」

ではなく、「今の賃金体系に無理がないか」

特に飲食店は人材定着が重要です。

長く働いてくれているスタッフが不満を持てば、退職やシフト減少につながる可能性もあります。

業務改善助成金を活用した人材定着


そこで検討したいのが業務改善助成金です。

業務改善助成金は単なる設備購入のための助成金ではありません。

本来の目的は、

賃上げと生産性向上を同時に実現することにあります。

時給を上げる一方で、

・モバイルオーダー
・POSレジ
・券売機
・セルフレジ

などを導入し、業務効率を高めることで、人件費増加の影響を抑えるという考え方です。


利益が残る仕組みを作る重要性

実際、飲食店の利益を圧迫しているのは人件費だけではありません。

食材価格や光熱費も上昇しています。

そのため、「時給を上げる」

だけでは経営改善につながらないケースもあります。

重要なのは、

賃上げ後も利益が残る仕組みを作ることです。

業務改善助成金は、そのためのきっかけとして活用できる制度だと思います。


助成金申請を考える際は、

「対象になるか」

だけではなく

・どの従業員を対象にするか
・既存スタッフとのバランスはどうするか
・設備投資でどれだけ効率化できるか

まで検討することをおすすめします。

制度を上手く活用できれば、賃上げへの対応だけでなく、今後の店舗運営そのものを見直す機会にもなります。

まとめ

業務改善助成金を検討する際、「50円賃上げすればよい」と考えがちですが、実際の飲食店経営ではそれほど単純ではありません。

最低賃金の引上げや助成金活用による賃上げは、対象者だけでなく周辺従業員の賃金バランスにも影響します。

雇用形態の従業員が働いているため、賃金設計を誤ると不公平感や離職リスクにつながる可能性があります。

だからこそ

「助成金をもらうために賃上げをする」のではなく、「将来を見据えた賃金設計と業務効率化を行うために助成金を活用する」

という考え方が重要です。

業務改善助成金は、単なる設備投資の補助制度ではありません。

賃上げと生産性向上を同時に進めることで、最低賃金の上昇にも対応できる強い店舗づくりを支援する制度です。

制度を上手く活用しながら、人件費が上がっても利益を確保できる経営体制を整えていきましょう。

社会保険労務士渡邉事務所では

社会保険労務士渡邉事務所では、

・業務改善助成金の対象確認
・飲食店向け設備投資相談
・賃上げ設計
・申請サポート

などを行っております。

最低賃金対応や人件費対策にお悩みの飲食店様は、お気軽にご相談ください。

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下記より気軽にお問合せください

最低賃金を上げれば業務改善助成金は受給できますか?

賃上げだけではなく、生産性向上につながる設備投資等も必要です。

ベテラン従業員の時給も上げなければいけませんか?

法律上の義務ではありませんが、賃金バランスの観点から見直しが必要になるケースは多くあります。

飲食店は業務改善助成金を活用しやすい業種ですか?

人件費比率が高く、業務効率化しやすいため比較的相性の良い業種です。

モバイルオーダーや券売機は対象になりますか?

条件を満たせば対象となる可能性があります。

まず何から検討すればよいですか?

賃上げ対象者と現在の賃金バランスを確認することから始めることをおすすめします。

この記事を書いた人

社会保険労務士 渡邉事務所
渡邉拓弥

渡邉事務所代表。さいたま市を中心に助成金申請・労務管理・就業規則・障害年金など中小企業をサポート。

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