人材採用について経営者の方とお話しすると、こうした悩みを耳にすることがあります。
確かに、給料は求職者が仕事を選ぶうえで重要な条件です。同じ仕事内容であれば、少しでも給料が高い会社を選びたいと考えるのは自然なことでしょう。
特に中小企業では、原材料費や人件費の上昇などもあり、簡単に給料を引き上げられない事情があります。
では、給料を上げられない会社は、採用を諦めるしかないのでしょうか。
私は、必ずしもそうではないと考えています。
今回は、社労士の考え方をもとに、中小企業が給料以外の部分で採用力を高める方法についてお伝えします。
01.採用活動を4つの視点から考える

採用活動を考えるうえで参考になるのが「4P分析」という考え方です。
もともとはマーケティングで使われる手法ですが、採用活動にも応用できます。
採用における4Pは、次の4つです。
- Price(給与・待遇):給料、賞与、福利厚生など
- Product(仕事内容):業務内容、仕事の魅力、キャリアなど
- Promotion(集め方):求人広告、採用サイト、情報発信など
- Place(選考プロセス):応募後の対応、面接、内定後のフォローなど
この4つのうち、給与や仕事内容は、会社の事情によってすぐに変更できないことも多いでしょう。
一方で、求人情報の伝え方や応募者への対応は、比較的取り組みやすい部分です。
つまり、給料を上げられないのであれば、ほかの部分を改善して採用力を高めるという考え方です。
02.応募が来たら採用成功ではない
求人を掲載して、ようやく応募が来た。
採用担当者としては、うれしい瞬間だと思います。
しかし、応募が来たからといって、その方が入社してくれるとは限りません。
求職者は、同時に複数の企業へ応募していることも珍しくありません。自社に応募してくれた方が、翌日には別の会社の面接を受けている可能性もあります。
例えば、同じ地域にあるA社とB社に応募した求職者がいたとします。
応募から数日経ってメールで返信し、面接は2週間後。
応募後すぐに連絡し、数日以内に面接を設定しました。
さらにB社では、面接前に会社の雰囲気や当日の流れを案内し、面接でも仕事内容を丁寧に説明しました。
給料はA社の方が少し高かったとしても、求職者がB社に魅力を感じることは十分に考えられます。
もちろん、対応が早ければ必ず採用できるわけではありません。
ただ、応募者への対応によって会社の印象が変わるという点は、経営者の方にも知っていただきたいところです。
03.応募者への連絡どうなっていますか?
選考プロセスを改善するうえで、最初に見直したいのが応募後の対応です。
中小企業では、社長や総務担当者がほかの業務と兼任して採用活動を行っていることも多いと思います。
そのため、応募が来ていても、忙しくて連絡が翌日や数日後になってしまうことがあります。
しかし、求職者はその間も仕事を探しています。
応募したときには興味を持っていても、連絡を待っている間に別の企業への関心が高まることもあるでしょう。
例えば、
- 応募があったら可能な限り早く連絡する。
- 電話がつながらなければ、メールやショートメッセージを活用する。
- 面接日程もできるだけ早く調整する。
こうした対応は、大きな費用をかけずに始められます。
04.面接は「会社が人を選ぶ場」だけではない

もう一つ見直していただきたいのが面接です。
面接というと、企業が応募者の経験や能力、人柄を確認し、採用するかどうかを判断する場という印象が強いかもしれません。
もちろん、それも大切な目的です。
しかし、求職者も同じように会社を見ています。
- 「この社長のもとで働きたいか」
- 「職場の雰囲気は自分に合いそうか」
- 「入社後も安心して働けそうか」
こうした点を面接の中で判断しています。
例えば、面接官が履歴書を見ながら一方的に質問し、仕事内容の説明もほとんどないまま面接が終わってしまったら、応募者はどう感じるでしょうか。
反対に、面接官が丁寧に対応し、仕事のやりがいや大変な部分まで説明してくれたら、会社に対する印象は変わるかもしれません。
これは、給料や会社の知名度だけでは勝負しにくい中小企業にとって、大切な考え方だと思います。
05.求人原稿でも、給料以外の魅力を伝える

ここまでは応募後の対応についてお伝えしましたが、そもそも応募してもらうためには、求人原稿も重要です。
例えば、求人票に「アットホームな職場」「働きやすい環境」と書かれていても、求職者には具体的な様子が伝わりません。
それよりも、実際の職場に合った情報を伝えることが大切です。
- 「残業は月平均5時間程度です」
- 「転勤はありません」
- 「未経験の方には、入社後に先輩社員が業務を教えます」
こうした情報があれば、求職者も入社後の生活や働き方をイメージしやすくなります。
応募を集めるために魅力的な表現を並べても、入社後に「聞いていた話と違う」と感じられてしまえば、早期離職につながるおそれがあります。
自社の魅力を正しく、具体的に伝えることが大切です。
また、求人原稿を作成する際には、同じ地域・同じ職種の競合企業がどのような条件で募集しているかを調べることも欠かせません。
給料を上げられないとしても、他社と比較することで、自社の強みや改善すべき部分が見えてきます。
06.採用できない原因を数字で確認する
最後に、採用活動の結果を振り返ることも大切です。
例えば、求人を出して5人から応募があったにもかかわらず、面接に来た方が0人だったとします。
この場合、求人原稿だけを改善しても、根本的な解決にならないかもしれません。
- 応募後の連絡が遅かったのか
- 面接日程の調整に問題があったのか
- 応募者が途中で辞退してしまったのか
まずは、その原因を確認する必要があります。
反対に、応募自体がまったく来ていないのであれば、求人条件や原稿の内容、求人媒体などを見直す必要があるでしょう。
採用活動も、結果を確認しながら改善していくことが重要です。
まとめ|給料以外にも、採用で改善できることはある
給料は、採用活動において非常に重要な条件です。
そのため、競合企業と比べて給与水準が大きく低い場合には、待遇そのものの見直しが必要になることもあります。
しかし、給料をすぐに上げられないからといって、何もできないわけではありません。
- 求人原稿を見直すこと
- 応募者への連絡を早くすること
- 面接で会社の魅力を伝えること
- 内定後も丁寧にフォローすること
こうした一つひとつの取り組みが、採用力の向上につながります。

さいたま市にある社会保険労務士 渡邉事務所では、労務管理だけでなく、中小企業の採用・定着支援にも力を入れています。
- 「求人を出しても応募が来ない」
- 「応募はあるのに、なかなか採用につながらない」
- 「採用してもすぐに辞めてしまう」
こうしたお悩みがございましたら、ぜひ一度ご相談ください。
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