採用についてお話ししている中でこうした声を聞くことがあります。
人が足りず今いる従業員にも負担がかかっている。
そんな状況であれば、まずは一人でも多く応募してほしいと思うのは当然です。
むしろ、広く呼びかけようとした結果どのような人に来てほしいのかが伝わらない求人になっていることもあります。
今回は、求人を作る前に考えておきたい「誰に向けて募集するのか」についてお伝えします。
01.「誰でもいい」と思っていても、実際には希望がある
「どんな方を採用したいですか」と聞くと、最初は「誰でもいいですよ」と答える経営者の方もいらっしゃいます。
ところが、具体的にお話を伺うと、少しずつ希望が出てきます。
- 「分からないことは、自分から聞いてほしい」
- 「お客様には感じよく対応してほしい」
- 「経験はなくてもいいけれど長く働いてほしい」
つまり、本当に誰でもいいわけではないのです。
ただ、その希望が頭の中にあるだけで求人原稿には反映されていない。これでは求職者も自分に合う職場かどうかを判断できません。
02.広く書いた求人ほど、働く姿が見えなくなることがある
例えば、次のような求人を見かけたら、どう感じるでしょうか。
応募しやすそうには見えます。しかし、実際に何をする仕事なのか、どのように教えてもらえるのかは分かりません。
未経験の方なら、「未経験歓迎と書いてあるけれど、本当に自分でもできるのだろうか」と不安になるかもしれません。
経験者の方なら、「今までの経験を生かせる仕事なのかな」と考えるでしょう。
会社としては幅広い人に来てほしくて書いた言葉でも、読む人にとっては、応募を決める材料が足りないことがあります。
03.条件を増やす前に、任せたい仕事を整理する
ターゲットを絞るというと、応募条件を厳しくすることだと思われるかもしれません。
しかし、最初に考えたいのは、年齢や経歴の細かな人物像ではなく入社後に任せたい仕事です。
例えば、事務スタッフを採用するとします。
- 入力作業を正確に進めてほしいのか。
- 電話や来客への対応を任せたいのか。
- 将来的にはお客様とのやり取りまでお願いしたいのか。
同じ事務職でも、任せる仕事によって必要な力は変わります。
そのうえで、「入社する時点で必要なこと」と「入社してから覚えてもらえばよいこと」を分けてみましょう。
パソコンの基本操作は必要でも、業界の知識までは求めなくてよいかもしれません。
電話対応も、経験年数より、相手の話を聞いて分からないことを確認できるかどうかが大切な場合もあるでしょう。
希望をすべて必須条件にすると、対象はどんどん狭くなります。
一度立ち止まって考えることも大切です。
04.来てほしい人は、何を求めて仕事を探しているのか
任せたい仕事が決まったら、次は求職者の側に立って考えてみます。
例えば、接客業から事務職へ転職したい方であれば、気になるのは「事務経験がなくても大丈夫か」「これまでの接客経験は役に立つか」といったことでしょう。
その方に向けて募集するのであれば
という説明が考えられます。
一方、専門知識を身に付けたい方であればどのような業務を経験できるのか、将来どこまで任せてもらえるのかが気になるかもしれません。
すべての人に、同じ説明が響くわけではありません。
05.自社の魅力は、従業員に聞いてみる
ここで、「うちには求人に書けるような魅力がない」と思われる方もいるかもしれません。
その場合は、今働いている従業員に聞いてみることをおすすめします。
堅い面談にする必要はありません。普段の会話の中で聞いてみてもよいと思います。
- 「困ったときに、すぐ相談できる」
- 「休みの予定を早めに相談できる」
- 「お客様から直接ありがとうと言ってもらえる」
こうした答えが出てくれば、求人で伝える内容を考える手掛かりになります。
経営者にとっては当たり前のことが、働く人にとっては、その会社を選ぶ理由になっているかもしれません。
06.求める人物像は、普段の行動で書いてみる
求人でよく使われる言葉に、「コミュニケーション能力のある方」「積極性のある方」などがあります。
便利な表現ですが、人によって受け取り方が違います。
例えば、会社が求めているのは「分からないことを質問できる人」なのに、求職者は「初対面でも、どんどん話せる人でなければ難しそう」と感じるかもしれません。
それなら、
と伝えた方が、働く様子を想像しやすくなります。
「積極性がほしい」という場合も、具体的に何をしてほしいのかを考えてみてください。
- 新しい仕事に挑戦してほしいのか。
- 困っている同僚に声をかけてほしいのか。
- 改善の提案をしてほしいのか。
まとめ|欲しい人材に、届く言葉になっていますか?
「誰でも歓迎」という言葉を、無理に削る必要はありません。
未経験の方にも広く応募してほしいのであれば、その方針は伝えてよいと思います。
そのうえで、何を任せたいのか、どこから教えるのか、どのような働き方ができるのかまで書かれているかを確認してみてください。
応募が来ないときは、給与や求人媒体を見直すことも必要です。それとあわせて、「この求人は、誰に向けて書いているのだろう」と読み返してみると、直すべきところが見つかるかもしれません。
社会保険労務士 渡邉事務所では、中小企業の採用・定着に関するご相談にも対応しています。
- 「求人を出しても、求める人材から応募が来ない」
- 「自社の魅力を、どう書けばよいか分からない」
このようなお悩みがございましたら、ぜひ一度ご相談ください。
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