【令和8年度業務改善助成金】結局何が変わった?現役社労士が実務目線で分かりやすく解説します

令和8年度の業務改善助成金について、厚生労働省から制度改正の内容が公表されました。

資料を見ると表や数字がたくさん並んでいて、

「結局何が変わったの?」

と思われた方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、社労士として実際に申請支援を行う立場から、事業主の皆様に影響が大きい変更点を分かりやすく解説します。

先に結論から言うと、

①賃上げ額の最低ラインが上がった

②対象労働者が雇用保険加入者になった

③申請できる期間が厳しくなった

④自動車が対象外になった

⑤対象事業所が拡大された

この5点が大きな変更です。

目次

変更① 30円コース・45円コース・60円コースが廃止

令和7年度までは、

・30円コース

・45円コース

・60円コース

・90円コース

の4区分でした。

しかし令和8年度からは、

・50円コース

・70円コース

・90円コース

の3区分に変更されました。

つまり、

「とりあえず30円上げて助成金を使う」

という考え方ができなくなりました。

今後は最低でも50円以上の賃上げが必要になります。

例えば埼玉県の最低賃金1,141円の事業所であれば、

1,141円

1,191円

以上への引上げが必要です。

最低賃金が毎年上昇していることを考えると、国としてはより大きな賃上げを後押ししたい意図が見えてきます。

変更② 対象労働者は雇用保険加入者のみ

今回の改正で最も影響が大きいのはここかもしれません。

令和8年度から、

引き上げ対象労働者は

「週20時間以上勤務する雇用保険被保険者」

が対象となりました。
例えば、

週15時間勤務のアルバイト

週18時間勤務の学生アルバイト

などは対象人数としてカウントできません。

飲食店や小売業では短時間アルバイトが多いため、

「10人いると思ったら対象は5人だった」

というケースも考えられます。

今後は申請前に雇用保険加入状況を確認することが重要になります。

変更③ 賃上げしてからの申請ができなくなった

これも非常に重要です。

これまでは一定期間、

先に賃上げを行ってから申請できる取扱いがありました。

しかし令和8年度からは、

申請

交付決定

賃上げ

設備導入

という本来の流れに戻っています。

つまり、

「最低賃金改定に合わせて先に時給を上げてしまった」

という場合は対象外になる可能性があります。

毎年9月から10月にかけて駆け込み相談が増えますが、

今年は特に早めの準備が必要です。

変更④ 自動車が対象外に

これまで物価高騰等要件を満たす事業者については、

一部の自動車購入が対象になるケースがありました。

しかし令和8年度からは、

特殊用途自動車を除き、

一般的な自動車は助成対象外となりました。
例えば、

営業車

送迎車

社用車

などで申請を検討していた事業者は注意が必要です。

一方で、

POSレジ

モバイルオーダー

食器洗浄機

配膳ロボット

シフト管理システム

業務用冷蔵庫

などの設備投資は引き続き対象となる可能性があります。

変更⑤ 対象事業所が拡大

これは良い改正です。

これまでは、

地域別最低賃金との差額が50円以内

の事業所が対象でした。

令和8年度は、

改定後の地域別最低賃金未満

であれば対象となります。

例えば、

最低賃金が63円上がった場合、

従来なら対象外だった事業所も申請できる可能性があります。

実際には対象事業所の範囲が広がったため、

利用できる会社は増えると思われます。

助成率も地味に変わっている

助成率の区分も変更されています。

これまでは、

事業場内最低賃金1,000円未満

助成率4/5

でした。

令和8年度からは、

事業場内最低賃金1,050円未満

助成率4/5

となりました。

ただし埼玉県は最低賃金1,141円です。

そのため埼玉県内の事業所については、

ほとんどが助成率3/4になると考えてよいでしょう。

社労士として感じる今回の改正

今回の改正を一言で表すなら、

「対象者は広がったが、申請のルールは厳しくなった」です。

特に、

・50円以上の賃上げが必要

・対象者は雇用保険加入者

・賃上げ前の申請必須

この3点は実務上かなり重要です。

一方で、

対象事業所は広がり、

90円コースでは最大600万円の助成も可能となっています。

設備投資を検討している事業者にとっては、依然として非常に使いやすい助成金であることに変わりありません。

まとめ

令和8年度の業務改善助成金の主な変更点は以下の5つです。

・30円、45円、60円コース廃止 → 50円以上の賃上げが必要

・対象労働者は雇用保険加入者のみ

・賃上げ後の申請ができなくなった

・一般的な自動車は対象外

・対象事業所が拡大

特に「先に賃上げしてしまうと対象外になる」という点は要注意です。

今年度、業務改善助成金を活用した設備投資を検討されている事業者様は、早めに準備を進めることをおすすめします。

さいたま市|社会保険労務士渡邉事務所にお任せください!

さいたま市にある社会保険労務士渡邉事務所では、業務改善助成金の申請支援を行っております。

飲食店、小売業、建設業、医療機関など幅広い業種に対応しております。

「うちの会社は対象になる?」

「どの設備が助成対象になる?」

「今年はどのコースで申請するのが有利?」

などございましたら、お気軽にご相談ください。

サービスに関するご相談・お見積りのご依頼は
下記より気軽にお問合せください

パートやアルバイトも対象になりますか?

なります。ただし、令和8年度からは雇用保険に加入している労働者が対象です。週20時間未満の短時間勤務者は対象人数に含められないため注意が必要です。

50円も賃上げしないと申請できないのですか?

はい。令和8年度から30円コース、45円コース、60円コースが廃止されました。最も低いコースでも50円以上の賃上げが必要です。

最低賃金が上がった後に申請しても間に合いますか?

原則として難しいです。令和8年度は「申請→交付決定→賃上げ」の順番が必要です。最低賃金改定後に慌てて相談されるケースが多いため、早めの準備をおすすめします。

飲食店ならどんな設備が対象になりますか?

POSレジ、モバイルオーダー、食器洗浄機、配膳ロボット、シフト管理システム、業務用冷蔵庫など、生産性向上につながる設備が対象となる可能性があります。

今年から自動車は使えなくなったのですか?

一般的な営業車や社用車は対象外になりました。特殊用途自動車を除き、自動車による申請は難しくなっています。

業務改善助成金は毎年同じ内容ですか?

いいえ。毎年制度改正があります。令和8年度は対象労働者や申請コースが大きく変更されたため、昨年使えた方法が今年も使えるとは限りません。

結局、今年一番気を付けるべきポイントは何ですか?

「先に賃上げしないこと」です。交付決定前の賃上げや設備導入は対象外になる可能性があります。業務改善助成金はタイミングが非常に重要な助成金です。

この記事を書いた人

社会保険労務士 渡邉事務所
渡邉拓弥

渡邉事務所代表。さいたま市を中心に助成金申請・労務管理・就業規則・障害年金など中小企業をサポート。

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