【 知らないとヤバイ 】業務委託から生まれる勘違いとリスクについて

目次

業務委託と雇用契約の違い

業務委託は、制度自体は便利で企業としても導入していきたいものだと思います。ですが、それぞれの違いを知らずに導入してしまうと大きな損害にもつながる可能性があるので、その違いと気を付けるべき点についてご紹介していきます。

項目フリーランス(業務委託)雇用契約
契約の種類請負契約・準委任契約労働契約(労働基準法の適用対象)
契約先との関係対等な立場での業務遂行使用者と労働者という従属関係
業務の指揮命令なし(業務内容や遂行方法は自分で決定)使用者が指揮命令できる
勤務時間の拘束なし勤務時間・休日等が指定されることが多い
成果責任原則成果物に対して責任を負う労働の提供に対する対価

名ばかり業務委託が発覚した場合のリスク

名ばかり業務委託とは、形式上は「業務委託契約」だが、実態は労働法上の「労働者」である状態をいいます。労働者性の判断は、指揮命令・拘束性・報酬の性質・代替性などから総合的【実態】で判断されます。
つまり、業務委託契約を結んでいたが、実際は雇用契約と判断された場合、企業にとっては、以下のリスクが発生します。

  • 過去の未払い保険料の追徴
  • 残業代の支払い義務
  • 労災の不備→裁判リスクや遺族補償リスク
  • 雇用契約書未締結により罰則・是正勧告
  • 雇用保険・育児介護休業給付等の未提供問題
  • 税務調査で【給与認定】され源泉徴収漏れの徴収

今回は、②の残業代の支払い義務について、詳しくみていきます。

前提条件
  • 業務委託報酬:月30万円(税込・固定)
  • 実労働時間:月200時間(うち40時間が法定外残業)
  • 雇用契約と認定された場合、残業代請求の対象
  • 請求期間:最大3年分(改正民法により)

残業代の計算方法

30万円 ÷ 160時間(法定労働時間)= 1,875円/時
1,875円 × 1.25 × 40時間 = 93,750円/月

3年分の遡及合計

93,750円 × 36ヶ月 = 3,375,000円

付加的に発生する可能性のコスト

【①】未払い残業代本体 約337万円 上記試算
【②】遅延損害金(年3%〜14.6%) 約20~50万円 確定日から起算/交渉内容で変動
【③】付加金(同額支払い命令) 最大で337万円 裁判所が悪質と判断した場合
【④】弁護士費用(被告側) 約30~80万円 内容・地域により変動
【⑤】労基署対応コスト(是正対応) 数万〜数十万円 是正勧告への対応・再教育など
※付加金とは労働基準法に違反して賃金(例:残業代)を支払わなかった場合に、裁判所
が命じる「制裁的な追加支払い金」をいいます。

【未払い残業のみ払えば済むとは限らない】
最大リスク合計
約700万〜800万円の費用発生
(内訳:残業代+付加金+損害金+弁護士費用)

名ばかり業務委託を防ぐ!社労士からの実務アドバイス

①契約形態を“実態”に合わせる

契約書ではなく「働き方」で判断されます!

  • 指揮命令(勤務時間・場所・業務内容)を出していれば、それは“雇用”です
  • 「雇用に近い働かせ方をしていないか?」を定期的に点検しましょう

②【業務委託者に「自由」があるかチェック】

業務委託なら、本来は以下が“自由”でなければなりません。

  • 勤務時間の決定
  • 働く場所
  • 代替要員の選定(他人にやらせてもよい)
  • 複数の取引先との契約

これらが制限されていれば、雇用と判断される危険性があります。

③契約書は内容よりも“運用”重視

形式だけでは最悪の事態は防ぐことはできません!

  • 契約書に「業務委託」と書いてあっても、運用が雇用的であればアウト
  • 社労士・弁護士とともに実態に即した運用指導を受けましょう

④成果物・納品ベースで契約

業務委託は“仕事の完成”に対する契約です。

  • 成果物・納期・支払い条件を明確にし、「時間」ではなく「成果」に報酬
  • 勤怠打刻・シフト管理があると雇用認定リスク大

⑤継続性・専属性の高さには注意

長期契約・その人しかできない業務=雇用認定されやすい

  • 「業務委託=便利な外注人材」と誤認せず、更新回数や依存度を管理する

⑥リスクが高い場合は雇用契約+助成金活用も検討

正社員化やパート雇用への切替は、助成金(例:キャリアアップ助成金)で支援可能

  • 名ばかり委託の放置は、訴訟・労基署調査・遡及負担数百万円のリスク
  • 事前に「制度設計+助成金活用」を社労士にご相談ください

まとめ

「バレなければOK」ではなく、「訴えられたら終わり」です。
名ばかり業務委託は、一発で数百万レベルの損害を生みます。

“契約”より“運用”が重要。不安な場合は、社労士に早めの確認を。
さいたま市にある社会保険労務士渡邉事務所では、助成金を中心とした経営に関するサポートを行っています。

業務委託を活用していこうと考えている経営者様は、助成金の活用を含めてご相談いただけますので気軽にご連絡ください。

この記事を書いた人

社会保険労務士 渡邉事務所
渡邉拓弥

渡邉事務所代表。さいたま市を中心に助成金申請・労務管理・就業規則・障害年金など中小企業をサポート。

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