解雇の進め方と注意点

普通解雇・懲戒解雇の違いと実務手順を整理

従業員対応の中でも「解雇」は最も慎重に判断すべきテーマです。

実務では、解雇後にトラブルとなり、

・解雇無効と判断される
・未払い賃金や慰謝料の請求を受ける

といったケースも少なくありません。

その大きな要因は、解雇が「理由」だけでなく、手順(プロセス)によって判断される点にあります。

本記事では、解雇の種類と違い、そして企業が押さえるべき実務上の手順を整理します。


目次

解雇の種類

解雇は主に次の3つに分類されます。

・普通解雇
・懲戒解雇
・整理解雇

それぞれ性質が異なり、求められる要件や手続きも変わります。


懲戒解雇とは

懲戒解雇とは、重大な規律違反に対する制裁として行う解雇です。

例えば、

・横領や窃盗
・重大なハラスメント
・経歴詐称
・長期の無断欠勤

などが該当します。

懲戒解雇は最も重い処分であり、企業側にとってもリスクが高い対応となります。


普通解雇との違い

懲戒解雇と普通解雇の違いは、目的にあります。

懲戒解雇は「制裁」を目的とするのに対し、
普通解雇は「雇用関係の終了」を目的とするものです。

この違いから、懲戒解雇の方が厳しい要件が求められます。

実務上は、懲戒解雇に該当するか慎重に判断し、普通解雇で対応すべきか検討するケースも多く見られます。


懲戒解雇の手順

懲戒解雇を行う場合は、次の手順が重要です。

1.事実関係の調査
2.証拠の収集
3.本人への弁明機会の付与
4.処分内容の決定
5.書面による通知

特に重要なのは、弁明の機会を与えることです。
これを省略すると、手続きの不備として無効と判断される可能性があります。


解雇予告と除外認定

解雇を行う場合、原則として30日前の予告または解雇予告手当の支払いが必要です。

ただし、重大な規律違反がある場合には、労働基準監督署の認定を受けることで、予告なしの解雇が可能となる場合があります。

なお、この認定は手続きの免除であり、解雇の正当性そのものを保証するものではありません。


普通解雇とは

普通解雇とは、会社の判断により雇用契約を終了させるものです。

主な理由としては、

・能力不足
・勤務態度の問題
・健康上の理由

などが挙げられます。


普通解雇の判断基準

普通解雇が有効とされるためには、

・客観的に合理的な理由があること
・社会通念上相当であること

が必要です。

単に「問題がある」というだけでは足りず、解雇という処分が妥当であるかが問われます。


普通解雇の実務手順

普通解雇において最も重要なのは、段階的な対応です。

1.事実の記録
2.指導(記録を残す)
3.書面による注意・指導
4.改善機会の付与
5.始末書の取得
6.段階的な懲戒処分
7.最終判断(解雇)

この流れを踏まずに解雇を行うと、無効と判断される可能性が高くなります。


よくある誤解

企業においては次のような誤解が見られます。

・能力不足であればすぐに解雇できる
・何度も注意していれば問題ない
・就業規則に書いてあれば有効

これらはいずれも単独では不十分です。

重要なのは、対応の経緯を客観的に説明できることです。


整理解雇について

整理解雇とは、経営上の理由により人員削減を行う場合の解雇です。

この場合は、

・人員削減の必要性
・解雇回避努力
・人選の合理性
・手続きの妥当性

といった要件が求められます。

解雇の中でも特に厳しい判断がなされるため、慎重な対応が必要です。


まとめ

解雇は、理由だけでなく手順が重視される制度です。

特に重要なのは、

・事実と証拠の整理
・段階的な指導
・改善機会の付与

この3点です。

これらを適切に行うことで、解雇の有効性が認められる可能性が高まります。


社会保険労務士渡邉事務所では

社会保険労務士渡邉事務所では、企業の解雇対応に関する実務支援を行っています。

指導書や始末書の整備
懲戒処分の設計
解雇手続きの確認
就業規則との整合チェック

など、企業側のリスクを踏まえた対応をサポートしております。

解雇は慎重な判断が求められる分野です。
適切な手順を踏むことで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。

サービスに関するご相談・お見積りのご依頼は
下記より気軽にお問合せください

普通解雇と懲戒解雇はどちらが選ばれやすいですか?

実務上は普通解雇の方が多く選ばれます。懲戒解雇は要件が厳しく、手続きミスのリスクも高いため、慎重に判断する必要があります。

懲戒解雇にするには何が必要ですか?

重大な規律違反があることに加え、就業規則に懲戒事由が定められていること、本人への弁明機会を与えていることが必要です。

普通解雇をする前に必ず指導は必要ですか?

必要と考えるべきです。指導や改善機会を与えていない場合、「解雇が重すぎる」と判断される可能性があります。

解雇予告なしで解雇することはできますか?

原則はできません。ただし、重大な違反がある場合には労働基準監督署の認定を受けることで可能となる場合があります。

解雇を行う際に一番重要なポイントは何ですか?

手順と記録です。解雇理由だけでなく、これまでの指導や対応の経緯を客観的に説明できることが重要です。

この記事を書いた人

社会保険労務士 渡邉事務所
渡邉拓弥

渡邉事務所代表。さいたま市を中心に助成金申請・労務管理・就業規則・障害年金など中小企業をサポート。

社会保険労務士渡邉事務所
サービス対象エリア

埼玉県・群馬県・東京都エリアを中心に対応しております。記載されているエリア以外も対応可能ですので、気軽に弊所へご相談ください。

埼玉県

さいたま市全域・上尾市・桶川市・北本市・鴻巣市・蓮田市・白岡市・久喜市・加須市・羽生市・行田市・熊谷市・川口市
その他地域も対応可能

群馬県

館林市・高崎市・前橋市・太田市・桐生市・伊勢崎市・藤岡市・渋川市・みどり市・富岡市
その他地域も対応可能

東京都

東京23区・東村山市・西東京市・武蔵野市・東久留米市・立川市・三鷹市・府中市
その他地域も対応可能

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次